本ページについて

2019年8月より、第2木曜午後にロービジョン外来を開設しました。通常の眼科診療では「回復できない、見えない、見えにくい」を手助けする外来です。一般外来を受診していただいた後の予約制となっています。
ロービジョンケアに関連するお役立ちウェブサイト情報をまとめましたのでリンクをご覧ください。

iPad

今回はiPadについてご紹介します。

iPadとはAppleが販売するタブレット型端末のことです。

視覚障害者手帳を取得していても補装具として申請できる自治体はほとんど無いようですが、ロービジョンの方にも使える機能があるので、いくつか紹介していきたいと思います。

 

1.カメラ

写真と動画を撮影する機能です。保存した写真は拡大したり、色や明るさ、コントラスト等を編集することが出来ます。動画は保存したものを拡大して見ることが出来ます。

 

 

2.拡大鏡

見たいものを拡大して見る機能です。明るさ、コントラスト、色変えが一つの画面でできます。またライトの点灯機能も付いているため薄暗い場所でも明るくしてみることが出来ます。カメラと違い写真は保存されません。また色調の変化はカメラでは淡い変化ですが拡大鏡ではかなりはっきりと色が変わります。

 

3.ズーム機能

ホーム画面やウェブサイトなど画面に写っているものを拡大して見る機能です。

 

 

4.Siri

要件を話しかけると操作を代わりに行ってくれるアシスト機能です。

「Hey Siri ○○して。」と話しかければその内容に沿って事を進めてくれます。

例えば、「Hey Siri明日の8時に目覚まし掛けて。」「Hey Siri○○に電話して。」「Hey Siri 明日の天気は?」などと話しかければそれに必要な操作を代行してくれます。

iPadが見つからないときは「Hey Siriどこにいるの?」と話しかけると「ここにいます。」と返事をしてくれたりと簡単な会話もできます。

 

5.反転

画面に写っているものを白黒反転する機能です。

写真などのメディアも反転させるモードと反転させないモードとがあります。

 

 

6.VoiceOver

iPadで検索したことなどを読み上げる機能です。読み上げ速度は調整可能です。

こちらは難しい機能なので使いこなすにはかなり練習が必要です。

 

以上になります。

今回紹介した機能は備え付けのものですので設定すればすぐに使うことが出来ます。

アプリをダウンロードしてご自身にあった機能を追加して使うことも出来ます。

「よむべえ」等、一部の有料アプリも補助対象となる場合もあるので購入の際はお住いの自治体に問い合わせてみてください。

 

 

※当院でのお試し、取り扱いはありません。(2021年8月現在)

 

次回はに白杖ついてご説明いたします。

見えにくさでお困りの患者さんに対しする看護師の関わり

埼玉医科大学病院アイセンター看護師の岩村です。見えにくさでお困りの患者さんへ看護師としてどのような関わりをしているか、いくつか紹介いします。

入院中、見えにくいと訴える患者さんの困りごとで多いのは点眼薬が点せないことです。看護師が患者さんの代わりに点すことは簡単ですが、それでは退院後の点眼治療ができなくなってしまう恐れもあります。見えにくくても患者さん自身が点眼薬を点せるようにならなければなりません。そのため正しい点眼薬の点し方をお話するのはもちろん、その方に合わせた見やすい点眼表の作成、触って分かる容器の工夫などを行って、患者さんが自分で点せるように指導を行っています。

ロービジョン外来で診察にいらした患者さんには問診票を参考に、直接お話を伺い患者さんの困りごとを解決できるよう心がけています。日常生活では凸シールの利用やコントラストをつけるなど、少し工夫をすれば「できないこと」を「できること」に変えられます。凸シールや、署名するときに便利なサインガイド、お札が識別できる封筒を実際に患者さんに使っていただくと、「なるほどね」「こうすればいいんだね」と関心を示してくださる方もいます。「帰ったら早速やってみる」と嬉しそうに話す患者さんの笑顔で私の方が嬉しくなります。

封筒は5千円札と同じ大きさでに切ってあり、それより小さいと千円札、大きいと1万円札が触って分かるようになっています。

凸シールはマスキングテープにボンドを垂らし固めたものです。触るとポコッとしていて目印になります。

サインガイドは病院の同意書の大きさに合わせて黒い画用紙をくりぬきました。散瞳して見ずらい方にも使っています。

 

視覚障がい者の方は触ることを情報収集の手段の一つとしています。また一人で移動することができず歩行の援助を必要とする方もます。昨年4月にはコロナ感染拡大の影響で初めて緊急事態宣言が発出され、外出自粛やいわゆる3蜜を避けるよう言われましたが、視覚障がい者の方にとっては日常生活に弊害をもたらす事態となってしまいました。私たちは患者さんたちが困っているのではないか、そもそもコロナのことを知っているのかと心配になり、当院で障害者手帳を申請した患者さんに電話連絡を行いました。患者さんから「連絡が来たことがうれしい」と言っていただき、改めて言葉かけの大切さに気付かされました。

当院でロービジョン外来を開設してもうすぐ2年が経ちます。まだまだ分からないこともありますが、少しでも患者さんの「できること」が増やせるように今後も努力していきたいと思います。

拡大読書器②

今回は拡大読書器の機能についてご紹介します。

▼拡大機能

見たい部分を拡大し、見やすくするための機能です。

機種にもよりますが、据え置き型で約2.7倍~50倍、携帯型で約2倍~22倍まで様々です。

ボタン操作での倍率変更だけでなく、スマートフォンのように画面に指で触れて拡大することも出来ます。

 

2倍                5倍

        

 

12倍

 

▼カラー切り替え機能

低コントラストの物(白地に淡い色など)を見る際に、色調やコントラストの強さを変えて見やすくすることが出来る機能です。

白黒、白黒反転、黄色黒、黄色黒反転などがありますが、人によって見やすい色調が異なるため、実際に試してみることが大切です。

 

 

 

 

 

 

 

▼ライン・マスク機能

文章をたどって読む際に見失ってしまうのを防ぐための機能です。

モニタ上に直線を表示させるライン機能と、読みたい部分以外を黒く遮蔽するマスク機能があります。

 

    

 

▼撮影機能

撮影した画像を保存し、あとで見返すことができます。

 

今後は補装具以外の便利グッズについてもご紹介していきます。

拡大読書器①

拡大読書器とは、ビデオカメラで写した画像をモニタに拡大して映し出す拡大補助具です。

写した映像をそのまま撮影することも可能なので、保存した画像を後から見返すことが出来ます。

拡大機能だけでなく、反転表示やコントラストの調整、ライン表示などの機能があるため、低視力者だけではなく羞明や視野狭窄のある方にもおすすめの機器です。

今回は拡大読書器の種類とそれぞれのメリット・デメリットについてご紹介します。

 

 

▼据え置き型

    

作業空間が広く取れるので、書類の読み書きをするのに適しています。

また、XYテーブルがついているので長時間の読書にも使用できます。

メリット:大画面、書き込みのしやすさ、XYテーブル(可動式テーブル)

デメリット:場所を選ぶ、本来の読書姿勢とは異なる、持ち運びに適していない

 

▼携帯型

    

軽量でサイズの種類も豊富にあります。

外出先でも使用出来るようなスマートフォンサイズのものから、家庭内での使用に適した比較的大画面のものまで様々です。

操作がシンプルで分かりやすく、電子機器の操作が苦手な方にもおすすめです。

メリット:どこでも使える、軽量・コンパクト、大画面表示も可能

デメリット:サイズによっては画面が小さい、機能面で据え置き型に劣る、充電が必要

 

 

患者様の生活スタイルや用途によって適切な機器が異なるため、当院では聞き取りを行いながら機種の選定をしています。

次回は拡大読書器の機能についてさらに詳しくご紹介します。