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2019年8月より、第2木曜午後にロービジョン外来を開設しました。通常の眼科診療では「回復できない、見えない、見えにくい」を手助けする外来です。一般外来を受診していただいた後の予約制となっています。
ロービジョンケアに関連するお役立ちウェブサイト情報をまとめましたのでリンクをご覧ください。

網膜走査型ディスプレイRETISSA

今回は視覚補助具であるRETISSAをご紹介します

RETISSAは、超小型プロジェクタによって網膜に直接映像を投影するヘッドマウントディスプレイです

 

特徴

▷ カメラとの組み合わせによって、視覚支援や視覚の拡張が可能

▷ 網膜に直接投影されるため、ピント合わせの必要がない

▷ パソコン、スマートフォン、タブレットなどに接続し、動画や電子書籍などを網膜投影により閲覧することができる

▷ 軽量でシンプルなデザインのオリジナルフレーム

▷ マイクロUSB端子で充電、モバイルバッテリーも利用可能

▷ 近視・遠視・乱視などの屈折異常、老眼など調節衰弱があっても、眼鏡やコンタクトレンズのような矯正手段を使うことなく映像を見ることが出来る

▷ 色の再現性に優れている

▷ 1分間に読める文字数が増加し、よりスムーズな読書が可能

▷ より小さな文字が読めるようになり、読書視力の向上が期待できる

 

種類

①RETISSA Medical (医療機器)

▷ 眼鏡中央にカメラがついており、映像をプロジェクタに投影

▷ 白黒反転など見やすいコントラストに変更が可能

 

②RETISSA DisplayⅡ (民生用)

上記写真のようにスマートフォンやPCなどのデバイスを接続

デバイスの映像がプロジェクタに投影される

視力に応じてプロジェクタを左右で付け替えることが出来る

 

適応

・円錐角膜や角膜不正乱視によって既存の眼鏡またはコンタクトレンズを用いても十分な視力が得られない方

・角膜混濁によって視覚に対し問題を感じている方

・ロービジョンや網膜色素変性症の方

 

※医療機器に分類される「RETISSA Medical」は地域によって補助制度が異なりますので事前にご確認ください

ロービジョン外来でご相談頂ければ、トライアルを準備いたしますのでご相談ください

MW10 HiKARIについて

最近話題になっているMW10 HiKARI(以後MW10)についてご紹介します。

MW10は夜盲症や視野狭窄をきたす網膜色素変性症の方や、緑内障などで視野狭窄が進んだ方に適応とされますが、暗い所で見えにくい症状がある方であればMW10の適応があると言えます。

 

MW10は遮光眼鏡に小型プロジェクターが内蔵されています。

このジェクターに投影された映像は暗闇でもわずかな光や色彩を自然に再現することが出来ますので、普段は見えない暗い場所でも物や風景が色鮮やかに見ることが出来ます。

夜盲症の方であれば映像を明るくすると肉眼で見るよりも明るくて見やすくなりますし、視野狭窄の方であれば倍率を下げて映像を小さくすることで肉眼よりも見える範囲を広くすることが出来ます。

MW10を使用することで今まで怖くて出来なかった暗い場所での歩行が可能になったり、見えにくい夜空の星が見えたりもします。

 

<MW10の特徴>

・コントローラーがバッテリーになっており、最大4時間連続使用可能です。コントローラーの大きさはスマートフォンの一回り大きいくらいです。

・コントローラー

・コントローラーでは明るさ、倍率、色調の変更が可能で、色調はカラー、白黒、白黒反転、高コントラストと選択出来ます。

・市販のビデオカメラで人の眼に近い状態

・MW10で見た状態

・カメラ部分を広角レンズに交換すると画角が広くなります。

・遮光の色はYB、OB、YEの3種類から選ぶことが出来ます。

 

MW10は視覚障がい者手帳をお持ちであれば日常生活用具として助成が受けられる自治体もあり、今後ますます増えていく予定です。

埼玉県では現在、鶴ヶ島市、深谷市、入間郡毛呂山町が給付対象です。

 

MW10はディスプレイの映像を見るという仕組みのため、夜盲症があってもその人の視力や視野によって適応出来ない場合もあります。

当院では外来で実際に体験出来ますし、場合によっては貸し出しも行っています。

興味のある方はお気軽にお声掛け下さい。

便利グッズ

〇便利グッズについて

今回は便利グッズについて紹介していきます。

 

①音声時計

音声で時間を知ることが出来る便利グッズです。

携帯型や腕時計型、置時計型など様々あります。

中には音量調整できないものもあるため、難聴がある場合は選ぶ際に注意が必要です。

 

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②音声生活用具

音声体重計、音声体温計、音声血圧計などがあり、それぞれ結果の数値を読み上げてくれます。

 

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また、IHに読み上げ機能が付いている音声電磁波調理器などもあります。

こちらの便利グッズは調理を開始したことや設定温度などを音声で教えてくれます。

 

 

③ロービジョン用筆記用具

読み書きしたい場所を黒い囲みで強調し行間違いを防ぐタイポスコープがあります。

こちらは黒い紙を切り抜いて簡単に作ることが出来ます。

 

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また、紙面からの反射が抑えられた黒い紙のノートや手帳、罫線が太いノートも販売されています。

 

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④その他

上記以外にも少しの工夫で生活がしやすくなるものがあります。

例えば食器は、色彩の淡い料理には内側が暗い色、色の濃い料理には内側が明るい色の器にしてコントラストをはっきりさせることが出来ます。

白米を例にとってみると、白色茶碗よりも黒色茶碗の方がはっきりみえることが分かります。

 

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他にも、白いものを切るときに黒いまな板を使ったり、ご飯をよそう時には黒いしゃもじを使ったりと工夫できることは様々あります。

 

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これらは百円均一ショップなどでも揃えることができるのでぜひお試しください。

 

 

〇まとめ

上記以外にも様々な便利グッズがありますが、今回は簡単に揃えられるものを中心に紹介しました。

まずはご自身の良く使う道具など、身近なところから取り入れてみるのはいかがでしょうか。

 

 

白杖(盲人安全つえ)

〇白杖(盲人安全つえ)について

 

白杖(盲人安全つえ以下白杖)は補装具の1つで安全の確保など様々な役割があります。役割については後に詳しく説明します。

白杖には直杖と呼ばれる一本杖と折りたたみ式があり、杖の素材もアルミ合金やグラスファイバーなどいろいろな種類があります。

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(https://www.cis.twcu.ac.jp/~k-oda/VIRN/ARAI/Long_cane.htmより引用)

 

 

先端にも種類があり、まっすぐなノーマルチップや、クルクル回るローラーチップ、ゴムが衝撃を吸収してくれるキノコ型のパームチップなど様々あります。

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(http://www.sgw.co.jp/hakujyo_stk/hakujyo_koukan_parts/rollerchip_935_936.htmlより引用)

 

 

 

〇白杖(盲人安全つえ)の役割

 

①安全の確保

1~2歩前方を確認することにより、障害物や段差などを発見し身体を保護します。この役割を果たせる白杖の長さは、杖を直立させたときに腋の下までくる位が基本とされています。また、歩くのが早い人や成長期中の子供は、この基本の長さよりも少し長めの杖にする必要があります。

 

 

②情報の入手

特に単独方向の時に必要な目印や位置の情報を得ることが出来ます。路面の変化や電柱などをはじめ、アスファルトと芝生の境目など様々な情報を杖の先端の「石突き(チップ)」と呼ばれる部分で感じ取ることが出来ます。チップの種類は前述のように様々な種類があります。

 

 

③シンボル

運転手や歩行者など周囲の人に見えない・見えにくい人に対する注意を呼びかけます。

                                           

白杖を頭上50cm程掲げると、周囲に助けを求めるサインとなります。

 

〇白杖選びのポイント

 

白杖は視覚障がい者手帳があれば意見書無しで購入することが出来ますが、自分に合った白杖を選ぶために歩行訓練を行ってからがオススメです。

歩行訓練では、杖の長さ・重さのほかに、歩行環境・歩く速さ、杖の持ち方・使い方などの指導を歩行訓練士より受けられます。

 

 

埼玉県内で歩行訓練が受けられる施設は以下の通りです。

①埼玉県総合リハビリテーションセンター 048-525-0777

②視覚障害者支援センター熊谷 048-536-5421

③NPO法人 視覚障がい者支援協会・ひかりの森 048-962-9888

④国立障害者リハビリテーションセンター 04-2995-3100

 

白杖の購入については、お住まいの地域の市役所(福祉課)にお問い合わせください。

また、対応できる内容が異なることがあるため、歩行訓練をご希望の方は施設に直接お問い合わせください。

※当院でのお試し・取り扱い・歩行訓練は行っておりません。(2021.9現在)

 

☆視覚障がい者の方々の白杖の携行は、道路交通法第14条1項で義務付けられています。

 

次回は便利グッズについてご紹介します。